円高で政策効果打ち消し

円高で政策効果打ち消し

13年度までに8.8兆円の新財源を生み出して各種対策を実行するとしている。マニフェストが実現すれば、10年度に2.7兆円、11年度以降に5.5兆円の歳出を見積もる子ども手当・出産支援や、10年度以降に0.5兆円の歳出を見積もる公立高校の実質無償化では、教育こ十育て関連を中心に消費拡大が期待される。

 

また、10年度以降に2.5兆円の所要額を見積もるガソリン税暫定税率の廃止や、来年度から段階的に実施して二一年度以降1.3兆円の所要額を見積もる高速道路の無料化では、家計に加えて自動車関連企業の支出拡大効果も期待される。もちろん、経済成長にマイナスの要因もある。3兆円の節約を見積もる公共事業の見直しは建設関連を中心に悪影響が及ぶことが懸念される。また、一兆円を見積もる公務員人件費などの削減や17兆円を見積もる租税特別措置の見直しも消費の押し下げ要因となろう。

 

子ども手当の創設は、所得税の配偶者控除・扶養控除の廃止も伴う。配偶者控除・扶養控除を一一年度以降に全額廃止すると仮定すれば、差し引き家計は10年度に五兆円、11年度以降に三兆円の所得増加となる。マクロ計量モデルを用いて試算すれば、経済成長率押し上げ効果は来年度以降0.6ポイントとなる。また、公立高校無償化の0.5兆円分も実質的に家計所得の増加につながるため、同様に試算すれば、経済成長率押し上げ効果は来年度以降0.01ポイントとなる。成長率の押し下げ効果は来年度以降0.03ポイントとなる。ここで政策効果と合わせると、経済成長率に及ぼす影響は来年度以降プラス0.15ポイントの円高でほぼ相殺される。政策が経済成長率に及ぼす影響を見るには、政策の実現度合いに加えて、為替政策に臨む政権のスタンスも重要な材料といえる。