流通途中で吸収される円高差益

流通途中で吸収される円高差益

円の対ドルレートは9月26日に七ヵ月半ぶりに「1ドル=90円を割り込んだ。円の対ドルレートはしばらく90円台前半で落ち着いた動きを見せていたが、藤井裕久財務大臣が円高容認とも受け取れる発言を繰り返したことで、急速に円高が進行した。為替が円高に推移すると、日本では経済への悪影響を懸念する声が即座に上がる。為替レートが円高で推移することは輸出の減少と輸入の増加を通じて景気の押し下げ要因となる。

輸出入依存度が小さいのに円高デメリットは大きい

海外通貨建て輸出は、自国通貨ベースの輸出金額の減少を通じて企業の売り上げ減少をもたらす。これが企業の設備投資や雇用・賃金の抑制を通じて景気に悪影響を価格低下を通じて日本経済全体の購買力を高める恩恵がある。はたして、円高から日本の受ける影響は他国と比較して小さいのか、大きいのか。

 

今回国際比較が可能なOECD(経済協力開発機構)のInterLinkの乗数を用いて、自国通貨高が各国経済に及ぼす影響の国際比較を行なった。自国通貨が10%高くなった場合の五年間の平均実質GDP押し下げ効果を比べると、まずハンガリー、チェコなど中欧諸国やメキシコ、韓国といった米国輸出依存度の高い国で円高によるGDP押し下げ効果が大きいことがわかる。日本も比較的大きな影響を受ける。一方で米国のほかフランス、イタリアといった欧州の大国、オーストラリアやニュージーランドでは、通貨高の悪影響は限定的もしくはプラスとなる。