自国通貨建てが少ない日本

自国通貨建てが少ない日本

ECB(欧州中央銀行)の調査結果を用いて確認すると、自国通貨高の悪影響が比較的大きい韓国の輸出は八割以上が米ドル建て、日本の輸出も米ドル建てが約五割を占める一方で、円建てでの契約は四割弱にとどまっている。これに対し、欧州諸国では、ドイツで六割強、フランスで五割強がユーロ建てとなるなど、総じて自国通貨建ての比率が高い。このように、日本は欧州諸国に比べて自国通貨建ての比率が低いことが、輸出入依存度が低い割に通貨高に直接の影響を受けずにすむ。

 

この要因の一つとして、まず経済規模の違いが挙げられる。一般に小国はモノの輸入依存度が高く、消費に占めるサービスの比率が低い。日米など大国は輸入依存度が低く、消費に占めるサービスの比率が高い。そのために、日本では、自国通貨高による輸入価格の低下が消費者物価全体の押し下げに結び付きにくい。

 

次に、内外価格差である。長期的に一物一価が国際的に成立すれば、為替レートは各国間の同じ商品が同じ価格となる水準、つまり購買力平価に近づく。しかし、サービスや不動産など非貿易財は貿易による水準訂正が働きにくいため、価格は硬直的になり、購買力平価は貿易財の換算比率に近い水準で決まる現実の為替レートと異なる。

 

そして、円高により、貿易財その輸入価格が下落しても相対的に生産性の低い非貿易財の価格は高く維持され、消費者の手に渡るまでの流通過程で円高差益がマージンとして吸収されやすい。こうした構造が、内外価格差を発生させると考えられる。実際の為替レートが貿易財での均衡レートを基に決まっているとするなら、購買力平価と実際のレートの差は非貿易財の内外価格差の反映ととらえられる。そこで、OECDが公表する購買力平価を用いて、1995年、2000年、05年、08年の各時点での国別の購買力平価と実際の為替レートとの格差を見てみた。